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第41号 役員給与の損金不算入平成29年10月11日

ごあいさつ

こんにちは、星野です。 朝晩はだいぶ涼しく感じられるようになってまいりましたが、みなさまいかがお過ごしですか。
10月に入り、生命保険料控除証明書等が届き始めました。毎年この時期になると年末が近づいてきたと感じます。控除関係書書類が届きましたら年末調整や確定申告まで保管しておいてくださいますよう、お願いいたします。

役員給与の損金不算入(過大役員給与等の「不相当に高額な部分の金額」の判断について)

同族会社が、4事業年度にわたり各株主総会等で、役員4名に対する役員給与の増額を決議し、各事業年度の損金に算入して法人税の申告を行ったところ、原処分庁が、役員4名に対して支給した役員給与には「不相当に高額な部分の金額」があるとして更正処分を行ったことから争われ、不服申し立てから訴訟になり、地裁、高裁を経て最高裁に上告されている事例について、具体的な事実関係は不明でありますがご紹介します。

役員給与について

法人税法34条2項において、「内国法人がその役員に対して支給する給与の額のうち「不相当に高額な部分の金額」として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入しない」と規定しています。そして、「不相当に高額な部分の金額」とは、法人税法施行令は70条1項1号イにおいて「内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与の額が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人で、その事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を、超える場合におけるその超える部分の金額」と規定しています。

審判所の判断

 審判所は、形式基準(定款や株主総会決議等で定められている役員給与が基準)は満たしているが、実質基準(法施行令70条1項1号イ)に役員の職務内容やその法人の収益状況、及び使用人に対する給与の支給状況、ならびに類似法人の役員給与の支給状況を当てはめて判断したところ、類似法人の役員給与の平均額と比較すると2倍から9倍の差があるとして、審判所が算定した適正金額を超える部分の金額は「不相当に高額な部分の金額」であると判断した。

地裁の判断

地裁は、適正額の算定において、同族会社は類似法人よりも経営状況が良く類似法人の役員給与の最高額を超えた部分の金額が過大であると判断した。(原処分どおり)
一方、同族会社は、類似法人の役員給与の支給状況等を把握することは不可能であるなど主張したが、国側は、財務省や国税庁が公表している「法人企業年報特集」や「民間給与実態統計調査」などの資料から類似法人の一人当りの平均役員給与を算定することが可能であると反論した。
なお、類似法人の抽出方法のうち事業規模については、売上額の0.5倍以上2倍以下の範囲内の法人を抽出するいわゆる倍半基準といわれるものを採用した。

高裁の判断

同族会社は控訴理由として、①倍半基準による類似法人の抽出は違法である。②過大性の判断では役員の能力や経常利益率等の個別事情を検討すべきである。③法人が申告を行う時点で過大かどうかの予測ができないと主張していたが、高裁は、①売上金額と役員給与に相関関係がないとまでは認めがたく倍半基準は合理的である。②役員の能力を判断要素とすることは、何をもって役員の能力とするか曖昧である。また、経常利益率と役員給与の関係には確立された一般的な理解があるとはいえない。③申告時点において入手できる資料から予測が可能であり、比較して高額であると認識できたと認められるとして控訴を棄却している。

最高裁に上告中で事例の結論はわかりませんが、役員給与の「不相当に高額な部分の金額」は損金不算入となり、「不相当に高額な部分の金額」の算定においては、形式基準と実質基準が規定されておりますので、過大役員給与との判断を受けないよう、特に増額改定時などには留意が必要と思われます。

(今野拓治)

 〜〜編集後記〜〜

10月と言えば、ハロウィンがすっかり定着してきた感があります。今年から「オータムジャンボ宝くじ」は「ハロウィンジャンボ宝くじ」と名称を変更するそうです。ハロウィンが終わったらあっと言う間にクリスマスです。年末に向けて気を引き締めていきたいと思います。
日ごとに寒くなりますが、お風邪など引かれませんようご自愛くださいませ。

(星野奈緒子)